2011年10月31日月曜日

D.S.& Durgaの香水


 秋の香りが欲しかったので、ちょっと前から気になっていたD.S.& Durgaの香水を購入しました。(伊勢丹で)

 ミュージシャンと建築家のカップルがブルックリンにある自宅の小さな工房で作っている香水。

 どれもハーブの香りが自然。ホワイト・ティーの甘さがさわやかなサイレント・グローブと迷ったけれど、スウィートな香りはあんまり似合わないので、ちょっとスパイシーなポピー・ルージュを選択。(夏の間はアクア・ディ・パルマをつけていた)私がもっとセクシーなタイプなら、蘭の香りが華やかなオーキッド・ドリンカーズでも素敵だったと思う。

 ライトボディのものならば、女の子が男子用のものをつけても素敵だと思う。

 ただ、本国でヒットしたという超スモーキーなバーニング・バーバーショップはどんなにハンサムな女子でも太刀打ち出来ないようなダンディな香り。

 バーニング・バーバーショップ、という名前の由来が面白い。1891年にニューヨークのウェストレイクの理髪店で起きた火事をイメージした香りだとか。火事が起きた理髪店からは、スペアミント、ライム、バニラ、ラベンダーのシェービングトニックが焦げた香りがしたという。そんな都市的な物語をバックボーンにしているなんて、憎たらしい。植草甚一とかを気取ってミステリを読むようなダンディな男子には、是非この香りをつけてもらいたい。


2011年10月30日日曜日

90年代アメリカインディ映画の重要作



「僕は昨日の会話にさえノスタルジーをおぼえる」

 ノア・バームバックが24歳で撮った処女作、『彼女と僕のいた場所(Kicking and Screaming)』。

 大学を卒業しても大学街に居座ってモラトリアムを続ける四人の青年を描いた話。十年に渡って大学に居座り、あらゆる授業を受けている先輩を演じるのはエリック・ストルツ。

 創作文芸科の彼女がプラハに行ってしまって、うじうじするウィンプスターのグローバーがしょっちゅうIDを無くしているのは、彼がアイデンティティそのものを見失っている証拠だ。「今は何もしていない」と宣言する『グリーンバーグ』のベン・スティラーは、十六年後のこの主人公の姿なのである。

 フラッシュバックのシーンでふと途切れるラスト。バームバックの個性は既にこの時点で確立されている。

 超低予算で、大学構内でゲリラで撮ったシーンも多数というこの映画に、マンブルコア映画のオリジンを見る。90年代のインディ映画で今に通じるスピリットを持つのはこの作品とホイット・スティルマンの『メトロポリタン』、リチャード・リンクレイターの『スラッカー』、ケヴィン・スミスの『クラークス』。ケヴィン・スミス以外の三人が何らかの形でマンブルコア人脈と付き合っているのは偶然ではないのだろう。

 舞台となったヴァッサー大学では、『彼女と僕のいた場所』を見ることは通過儀礼になっているという。ジャスティン・ロングも見ただろうか? というか、ノア・バームバックはヴァッサー時代インプロ劇団に所属していたというが、これってジャスティン・ロングがいたところと同じ劇団なんじゃないかと思う。ネットではこの先輩ー後輩の関係はさらえなかった。

 それにしても、クリス・アイガーマンの演技は本当に素晴らしい。しょちゅうクロスワード・パズルをやっている皮肉屋の哲学科の学生の役。普通の俳優ならば文学的過ぎて嘘くさい感じるはずの台詞も、彼の口から発せられるとこの上なくリアルに感じる。『メトロポリタン』から始まるホイット・スティルマン三部作といい、得難い個性だ。



秋のバッハ



 最近、愛聴しているのがアレクサンドル・タローの『J.S. Bach Piano Concertos BWV1052, 1054, 1056, 1058, 1065』
 彼は今年の初めに出たスカルラッティもよかった。
(モダン・ピアノとの珍しい組み合わせになる)カナダの古楽アンサンブルと組んだこのバッハのアルバムは、理知的であるのと同時に繊細で、室内楽的なインティメイトな感じが更に好み。
 Virginに移籍してからヤマハのピアノのキラキラした音がちょっと苦手、という人もいるけれど、今回はそのブライトな音が慎ましやかな光のようで美しかった。(本来はオーボエ協奏曲であるものをアレンジした)マルチェルロの主題による協奏曲の第二楽章の静謐さ、多重録音で一人四役をこなした4台のピアノのための協奏曲も素晴らしい。
 今、一番好きなピアニストです。


2011年10月26日水曜日

リンジー・ローハンの遺影



 最近のリンジー・ローハンについて考えたら悲しくなってきたので、2006年に講談社のウェブマガジンの連載、「お気に入りに追加」のために書いた原稿をここに再録しておく。

 前回、DVDスルーの映画について書いたのだけど、来年早々このラインナップに入っているものに、リンジー・ローハン主演の『ラッキー・ガール』がある。

 リンジー・ローハンといえば、ゴシップ・クィーンのイメージが強いアイドル女優。ティーン映画のカテゴリーの中では最大限にいい映画に出ていて、女優として同世代の女の子の共感を呼べるという根幹あってこその人気なのに、日本ではゴシップの方が一人歩きしていて損だ。それにしても、一時期ほどではないにしろ、日本でのハリウッド・ゴシップの人気はちょっと過熱気味だと思う。もちろん、ゴシップは楽しい。けれど、本国から離れて少し距離感を持ってみるからこそ、ちょっと下世話で面白かったり、あるいは神話的だったりしたものが、なんとなく最近は固有名詞が日本の芸能人でないというだけで、どんどんフツーの女性週刊誌的な(つまり本国で『ナショナル・エンクワイラー』を本気でガン見している人の)視点になりつつあるんだよね……。いや、ゴシップが悪いわけじゃないのだけど、「その人の映画作品は見ていないけれど汚い噂は知っている」というスタンスはちょっと問題があるような。あくまでも、光あっての影だから。

 で、リンジーの『ラッキー・ガール』における日本の映画会社の戦略はちょっと惜しい。DVDスルーという時点で惜しいのは当たり前だけど、本当に残念なのはDVDのカバー・パッケージである。ちょっとリンジー・ローハンが好きな人ならば、原題を『Just y Luck』というこの映画の本国版のポスターで、ピンクのフェイクファー・コートを着た彼女がサングラスを上げてウィンクしている写真が使われていたことを覚えているだろう。日本盤のビジュアルでは、その写真が使われていないのだ。この写真こそ、ゴシップ・クィーンのリンジーと女優としての彼女の人気を結びつける重要な一枚なのに。

 実はこの写真、スタジオが用意したものではないのだ。パパラッチが撮った会心の一枚なのである。それも、彼女の父親が飲酒運転で逮捕された次の日のものだ。その日、ニューヨークのマジソン・アベニューの高級ブティックでリンジー・ローハンが買い物をしているという情報を得て、パパラッチ・カメラマンのローレンス・シュワルツワルドは現場に向かった。既に何人かのカメラマンが待機しており、彼らは当然リンジーが足早に逃げるものと予想していた。ところが。リンジー・ローハンはカメラに気がつくと、平然とシュワルツワルドのカメラに向かって、サングラスを外してウィンクした。思わず彼は叫んだ。「その顔をもう一回頼む!」

 こうして撮られた一枚が、「ピープル」や「アス」といったゴシップ誌に買われ、最後には二十世紀フォックスが大金を出して買い取り、映画のポスターになった。

 父親が逮捕された日に買い物に行き、カメラマンにウィンクをした。そこに信じがたいほど軽薄だともいえる。そんな悲しい日に、過去の数多くのグラビアの中でもとびきりの笑顔を作ってみせた彼女を、健気だといえる。あるいは、そこまでやってみせるからこそナンバー1アイドルなのだとも。

 ハリウッドのアイドルであることのグロテスクさ、悲しみ、そういったものを全て包括する輝きやリンジー・ローハンのパワーというものの全てがある写真である。パパラッチのカメラマンによる歴史的な写真というものが、何枚か存在する。カメラマンを殴り飛ばした瞬間のショーン・ペンや、スタジオ54のアンディ・ウォーホルといった決定的なショットだ。これもその一枚にカウントしていいだろう。もし、私たちが将来、二十歳にもならない女の子を連日マスコミが追い回したある時代を振り返る時や、(将来的に失敗しても成功しても)リンジー・ローハンのキャリアを総括する時、あるいは彼女が死んだ時にイメージとして使われるのは間違いなくこの写真だろう。ここにはちゃんとハリウッドの神話としてのゴシップが息づいている。

2011年10月25日火曜日

ニューヨーク・メモ


 GQ最新号のブルックリン特集がすごくよかった!

 最近本国のお洒落雑誌でこういう特集をする時は、かならずと言っていいほど、去年泊まったnu Hotelがお勧めホテルとして紹介される。古いビルディングをリノベした小さなホテルなんだけど、サービスが行き届いて、ブルックリン探索には最適のホテルを自力で見つけた!と思っていたので、嬉しいのと同時にちょっと複雑な気分。でも、ブルックリンに行くならばここはいいですよ、と自分のところでもレコメンしておきます。


 そして気になる場所など、twitterで流したものは今後ここにまとめておきます。


・パークスロープのクレープ&エスプレッソ・バー、Crespella


・評判のいいレストラン、グリーン・ポイントのFive Leaves。オイスターがおいしいらしい。


・ホテル、という名のロマンティックなバー、Hotel Delmano


・ウィリアムズバーグのビストロ、Sweetwater


・ブルックリンのグルメストア、BKLYN LARDER。サンドイッチとデリがおいしそう。


・パークスロープで話題のオーガニック・バーガーの店、Bareburger。マンハッタンにも三店出来るらしい。


・ウェストビレッジのジャマイカ料理店 Miss Lily's Favourite Cakes


・アイスサンドがおいしそう! ベンダーを狙いたい。Melt Bakery


・ホイット・スティルマンお気に入りの80'sなカフェレストラン、The Noho Star


・ブルックリンでカップルが自宅の小さな工房で作っている香水、D.S.& Durga。伊勢丹で手に入るらしい。そしてD.S.& Durgaの二人のお宅はお洒落すぎる。


・キールズがアッパー・イーストにオープンしたスパの内装。まるでAce Hotel。


・この「ピンナップ・ガールになっちゃおう」なクラス、受けてみたい!


・プレッピーの必須アイテム、Belgian Shoesのリボンローファー。

メモ


 今年の秋の新しい靴。いつおろそうかな。

・これは最高! サンドイッチの断面のスキャン集にもなりました。

・ジェイソン・ライトマン監督が演出した「ブレックファスト・クラブ」朗読劇
アーロン・ポールのジョン・ベンダーは完コピだったらしい。

・チップ・キッドが語るハルキ・ムラカミ「1Q84」の装丁



・いろんなスティーブ・ジョブスのトリビュートがあるが、このヘアカットはグレイト。

・南アでレイヨウが自転車乗りをアタックする

・アメリカ五十州から一組ずつ、期待の新人バンドを挙げる企画。インディ・ロック・シーンの分布図も分かって面白い!

・『ブレックファスト・クラブ』のアリ・シーディをイメージ・ソースにしたBand of Outsidersの今季のルックブック

80年代のシングルレコードカバー集

・この水玉模様のニットタイが欲しい。

・etsyで売っているもので「ツイン・ピークス」のコスプレをしようという企画

・Kate Spadeの来期春夏テーマはフローレンス・ブロードハースト

・全てのギーク・ガールズたちよ団結せよ! というGeek Girl Uniteのサイト。になりました。

・ニューイングランドのリアルプレッピーなカップルが作るプレッピー小物ブランドKiel James Patrickと、彼らの恐ろしいまでにプレッピーな暮らしぶりを伝えるサイト

2011年10月23日日曜日

営業報告

「シネ・アピエ」、「映画の中の食卓」号では『ジュリー&ジュリア』について書き

「Spur」のDVDコーナーでは昨今のロマンティック・コメディを取り上げ

「フィガロ」では映画特集で「山崎まどか選 女性像で見る名作傑作DVD」というガイドを担当

CDジャーナルの「アメリカ学園天国」では『スクリーム4 ネクスト・ジェネレーション』を取り上げ

「ケトル」では『ステイ・フレンズ』のレビューを書き

映画『グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独』公式ガイドにコメントを寄せ

「FRaU」では連載の読書日記の他に、ディシラの広告ページにショートストーリー的なものを書いています。


あと一生懸命原稿を書いています。


でも『サブマリン』は見ます。


2011年10月3日月曜日

「Awkward」とジュディ・ブルーム




 この間、MTVのドラマ『Awkward』が最終回を迎えた。
 初回が大評判だった割に十二回のミニ・シリーズ、しかも十一回と最終回を二話連続で同じ日にやるというひどい扱いだったので心配したのだが、第二シーズンも決定したようで良かった。どういう話だったかというと…

 ジェナ・ハミルトンは十五歳の負け組女子。矯正器が外れ、憧れの学園一のイケメンとサマー・キャンプの最終日に備品室でセックスするも、あっさりやり逃げされてしまう。更に「ティーンエイジャーだってことで、死にたくなるときがある」とブログに書いた日にアスピリンを喉に詰まらせてバスルームで転び、世にも間抜けな骨折姿で新学期を迎えることに。同級生やチアリーダーたちからはバカにされ、両親とスクールカウンセラーからは自殺未遂を疑われ、こんな最低な人生、どうしたらいい?
 自分が精神不安定なスクールカウンセラー、出来ちゃった結婚で青春をおくりそこねたため、やたらとギャルくて軽薄な母親、ジェナを目の敵にするチアリーダーの学園女王は美少女でもなんでもなくて、ただ家がお金持ちで無闇に自信があり、イジメと悪口の才能にたけたデブでブスの女子、とキャラクターは粒ぞろい。特にジェナの初体験の相手となるアメフト部の勝ち組男子、マティの人物造形はいいと思った。学園における社交生活にとらわれてはいるけれど、まるっきりの嫌な奴ではない、ちょっとジェナに思いやりもみせたりする、というやっかいな男で、そのためにジェナは彼を切ることも出来ず、ずるずるずるずる「セフレなんだか秘密の恋人なんだか」よく分からない関係に陥ってしまう。高校生でなくても、こういう関係に悩まされている若い女の子って結構いるんじゃないかと思う。
 しかし一番いいのは何といってもヒロインのジェナだ。学園の最下層の娘らしく、どこか醒めきっていて、自分を突き放して見ているところがある。ブログを書いている彼女の一人称という形でモノローグが入るのだが、この語りがいい。
 エマ・ストーン主演の『Easy A』もヒロインがウェブカムに向かって話しているという設定の一人称ドラマだったが、この形式、新しいようでちゃんと少女小説の伝統を踏まえている。
 こうした少女の思考をそのまま一人称にしたような語り口は、ジュディ・ブルームの『神さま、わたしマーガレットです』が元祖である。その後、映画ではエイミー・ヘッカリングがこの方式を『クルーレス』に採用したが、『Easy A』『Awkward』の語りはむしろジュディ・ブルームの直系といえる。そこが興味深い。



 ジュディ・ブルームは言ってみれば「アメリカの氷室冴子」だ。児童書やヤング・アダルトの分野で数々のクラシックを放ってきた。七十年代に書かれた『神さま、わたしマーガレットです』はマンハッタンからニュージャージーの郊外に越してきた途端、それまで身近ではなかった宗教問題に悩まされる小学校高学年女子の話だ。彼女の両親はそれぞれユダヤ教とキリスト教のルーツを持っていたが、リベラルな家庭を築いて、主人公のマーガレットを無宗教で育ててきたのである。
 といっても、難しい宗教問題の物語ではなく、主人公の思考は「いつブラジャーをつけるか」「仲間内で最初に生理が来るのは誰か」「男の子とキスしてみたい」といった雑多なもので埋め尽くされている。そういった悩みを勝手に話しかける都合のいいイマジナリー・フレンドとして神さまを使っているに過ぎないのだ。しかし、そこが新しかった。
 少女のとりとめのないおしゃべり口調の一人称はこれによりスタンダードとなり、タイトルの「Are You There God? It's me,Margaret」というフレーズは慣用句のように今でも使われている。
 プロットから『彼女は夢見るドラマクィーン』を思い浮かべる人もいるだろう。『Easy A』ではジョン・ヒューズとならんで、ヒロインが呼びかける名前として出てくる。アメリカの少女を主人公にした学園物や、チック・リットやチック・フリック(女子映画)を語るのならば、まずはジュディ・ブルームの本を押さえておかないとダメだ。
『Awkward』のクリエイターであるローレン・リンゲリックも、ジュディ・ブルームを読んで育ったのだろう。というか、アメリカの(文化系)女子でジュディ・ブルームを通過していないなんてことがあるのだろうか…とズーイー・デシャネルが主宰するサイトHellogigglesのライターの半泣きジュディ・ブルーム・インタビューのレポートを読んで思った。
 
 ちなみに主人公のジェナを演じる十九歳のアシュレー・リチャーズはよく見つけてきたなあ、というような微妙なルックス…と思ったら、普段はモデル級の美女であることが発覚。女子って恐ろしい!

私のお気に入りの女優



 ツイッターでグレタ・ガーウィグ! グレタ・ガーウィグ! って何回も言っているけれど、本当にいま、一番好きな女優は彼女かもしれない。マンブルコア映画のミューズとして知られる彼女、ノア・バームバック監督の『グリーンバーグ』からの快進撃を考えると、他のマンブルコア仲間よりもずっと野心的なのだろう。
 最近は女優に専念しているグレタだけど、マンブルコアにおける出世作『Hannah takes the Stair』『Nights and Weekends』では脚本も書いている。「クリント・イーストウッドみたいなキャリアを目指したい」って言うあたり、やはり野心が強い。

『Nights and Weekends』予告編

 マンブルコア時代のエピソードで好きなのは、コンビであるはずのジョー・スワンバーグ監督と大変に仲が悪くて、インディ映画祭では二人が喧嘩してお互いを罵倒し合う声が聞こえると、マンブルコア仲間が「映画祭に来たな」って感じがする、って話。彼らはカサヴェデスとジーナ・ローランズのような恋人同士ではないのだ。ちょっと小劇場の主演女優みたいなところがあるのかな。インディ映画の女王であるところから、ジーナ・ローランズがよく引き合いに出されるけれど、私がグレタに似ていると思うのはエマニュエル・ドゥヴォス(ルックスが近似値)。つまりグレタはフランスだったらアルノー・デプレシャンの映画でヒロインをやるようなタイプの女優なのです。


 それにしてもグレタ、どんどん綺麗になってきている。プラダのミニドレスも似合うこと! 実はクラシカルな美貌の持ち主だから、ゴージャス路線も似合うんだよね。体を絞らないところはえらい。彼女の魅力のひとつはやさしくてまあるい体型。『グリーンバーグ』の悲惨なベッドシーンでも、お腹がぽっこり出ていてそこがよかった。
 でもマンブルコア仲間からは最近「ハリウッド女優さん」ってからかわれているに違いない。カンニング竹山がお笑いから「役者さん」って言われているように。

 彼女の今のところの代表作『グリーンバーグ』。現在はiTunesでレンタルできます…って、せめてDVD出そうよ。大傑作なんだから。彼女がベン・スティラーに言う「Hurt People,Hurt People(傷ついた人は、人を傷つけるものなの)」は昨年の名台詞No.1。ミニマムの極み、といわれている彼女の演技の細かな感情表現がバームバックの作風に合っている。靴を脱いで裸足で犬のお腹をなぜるシーンや、ふと目を上げる仕草、あまりに自然で、美しい。
『グリーンバーグ』予告編

 ノア・バームバックは明らかにマンブルコアに影響されて『グリーンバーグ』を撮っているけれど、ホイット・スティルマンも彼らへのシンパシーを表明している。彼の十三年ぶりの新作『Damsels in Distress』の主演はグレタ・ガーウィグ。ホイット・スティルマンとノア・バームバックの二人が愛した俳優にクリス・アイガーマンがいるが、『Damsels in Distress』のクリップのグレタの演技がアイガーマンを思わせるので驚く。メジャーどころでは他に『アーサー』のリメイクでヒロインを演じているグレタ。ウディ・アレンの最新作にも出演。ということは、日本でのブレイクはそれが公開される二年後くらいかな…楽しみなのは『Damsels in Distress』とバッファロー'66の脚本家の監督デビュー作『The Dish & The Spoon』。グレタは夫に浮気されて、精神が不安定になって灯台に住み込むようになった主婦を演じている。そこにやってきたのは、やはり情緒不安定なティーンエイジャーのオリー・アレクサンダー。二人はファンタジーの世界に逃げ込むようになって…というお話。
 

 スチールだけで傑作の予感。
 ところで、最近ツイッターをさらうと、ニューヨークでのグレタとノア・バームバックの2ショット目撃証言が多数なんですけど、ねえつきあっているの? つきあっちゃいなよ!