この秋に出る「プレッピー」な本を紹介しましょう。

Band of Outsiders(及びその女子版であるところのboy from Band of Outsiders)や、ジェナ・ライオンがヘッド・デザイナーになってからのJ Crewなど、私は最近のニューヨーク・ブランドのちょっとヒップな今様プレッピーな感じが大好き。そしてアメリカン・トラッド的なものに弱いところがあります。ちょっとカジュアルだけどSave Khakiなんかも気になるブランド。
もともと昔から制服っぽいアイテムに目がないのですが、それは私が通っていた私立の中学・高校が私服校で一度もユニフォームに袖を通す機会がなかったことが影響しているのかもしれません。 今年の五月にニューヨークに行った時は、ラルフ・ローレンのディフュージョン・ブランドであるところのRugbyでスカル・ポイントのポロシャツ等を買い込んだものでした。 そのRugbyが秋には日本に進出、原宿にショップが出来るということで、まずはめでたい。
ラルフは好きなのですが、女性の服は何だかものすごくコンサバなマダム服が多い。東海岸上流階級夫人、『ギルモア・ガールズ』のエミリー・ギルモアがよく着ているようなミリタリー調のかっちりした服なんかもあって、メンズに比べても若々しさに欠けるような気がします。これは多くのアメリカン・トラッド・ブランドに言えることで、ブルックスもレディースはロングアイランドでオホホオホホと言ってそうな勝ち組主婦っぽいデザインです。ブラックフリースは可愛いって? 値段の方が可愛くないのよ!
Rugbyは学生向きブランドですが、同じギルモア家でも21世紀的文化系アイコン、ローリー・ギルモアに似合いそうなフレッシュさがあります。ポイントがスカル・マークというのもひねりがあって好き。 何よりRugbyみたいなファッションが似合うキュートでプレッピーな男子っていいよね!
Rugbyの服はこう着こなすべき。Class Actのスタイル・ブロガー、大学生アンジェロくんのスタイリング。『素敵な片想い』の登場人物ではアンソニー・マイケル・ホールを超えてジェイク・ライアンのファッションが今はイン、と主張する男。


Band of Outsidersを着るマイケル・セラ

21世紀的プレッピー・アイコン。といえばVampire Weekendのエズラ・クーニグ。最終学歴:コロンビア大学(アイビー・リーグ)。尊敬する人物:ラルフ・ローレン

Rugbyも可愛いが、マイケル・バスティアンとスポーツ・ブランド「GANT」のコラボ・アイテムも非常にプレッピーで可愛い。日本ではやはり秋にユナイテッド・アロウズが入れるようです。
ところでプレッピーとは何でしょうか。ファッション用語的にいうと、アメリカの名門大学、いわゆるアイビー・リーグに通うような上流階級の子息たちの由緒正しきスタイルということになりますが、「スタイル」とは何もファッションだけを表す言葉ではありません。生活習慣・様式、メンタル面、全てをひっくるめて「スタイル」。アメリカのコンサバなお金持ちのWASPのスタイルというものがあるとすれば、それが「プレッピー」。
かつてそんな「プレッピー・スタイル」を笑い飛ばした擬似マニュアル本がありました。その名も『オフィシャル・プレッピー・ハンドブック』。

アマゾンのマーケット・プレイスの本は高騰しすぎですね。
1980年に出版されたこの本は決まりきったスタイルに囚われたプレッピーたちを揶揄したパロディ本でしたが、ニュー・トラ、ハマ・トラ全盛期だった日本では大学生たちにライフスタイルのお手本として重宝されました。81年には早くも翻訳版が出ています。奇しくもアメリカで原書が発売された同じ年には日本で穂積和夫の『絵本アイビーボーイ図鑑』が出版され、VANから連綿と続く日本でのアイビー神話を確固たるものにしたのです。
そしてアメリカ本国でもJ Crewなどが『オフィシャル・プレッピー・ハンドブック』をファッション・ソースとして使い、冗談本だったはずのこの本は本当のオフィシャルなプレッピー文化を紹介する貴重な資料として残ることになってしまったのです。


げ、再発版もアマゾンの中古市場で高騰している…。
日本におけるアイビー・ファッションの聖典といえば、1965年に発売された写真集『Take Ivy』です。長らく絶版で古本市場でとんでもない価格がついていた本でしたが、このたび何とニューヨークの出版社PowerHouse Booksから再発が決定。こんな本が海外の出版社によってサルベージされたことに驚く人もいるかもしれませんが、アメリカの男子スタイル・ブロガーのページを見ていると、どこで入手しているのか、70年代〜80年代の「POPEYE」「Hot-Dog Press」の誌面をスキャンして紹介しているエントリーに度々出くわします。まさに逆輸入。今様プレッピー・ファッション信奉者たちのお手本は、「日本のアイビー・ファッション」のスタイリングなのです。
更にはダメ押しで、『オフィシャル・プレッピー・ハンドブック』の著者の一人であるリサ・ビンバックがブック・デザイナーのチップ・キッドと組んで、この秋『オフィシャル・プレッピー・ハンドブック』のアップデイト版『True Prep』を出すというではありませんか! アメリカのアマゾンのページでは、誌面の一部と撮影風景の動画などが見られます。
この本の発売ニュースをさらっていて、思いがけないことを知りました。『オフィシャル・プレッピー・ハンドブック』の著者、リサ・ビンバックはWASPではなくユダヤ人だという事実です。(チップ・キッドはどうなんだろう?)
そういえば、プレッピー・ファッションのアイコンとされる人物の多くはユダヤ人です。ラルフ・ローレンも、ポール・ニューマンも、ウディ・アレンも、(『卒業』のファッションが引用される)ダスティ・ホフマンもみんなユダヤ人。ユダヤ人であるエズラ・クーニングがプレッピー・ファッション/文化の信奉者であることは何らおかしいことではなく、むしろこうした文化系ユダヤ人によって「プレッピー」のイメージか形作られてきたといえるのかもしれません。
発売は来年ですが、こういう本もでる模様。

プレッピーといえば…
私は90年代の渋谷系サウンドで何かアルバム一枚を選べ、と言われたらピチカートもフリッパーズもすっとばしてこれ選ぶな。今聞くと元ネタが分かりすぎるが。

ところで21世紀的プレッピー・アイコン、女子版はやっぱ
この人でしょうか。