2009年4月28日火曜日

エドワード・ホッパーの風景

 以前、エドワード・ホッパーが描いた風景と、現在のその土地を同じアングルで撮った写真を並べた『Hopper's Places』という本を紹介した。


 現在、サンフランシスコのFrankel Galleryでは、エドワード・ホッパーが写真家たちに与えた影響を考える、『Edward Hopper & Company』という展示会を開催している。ホッパーの絵と並んで壁にかけられているのは、ウォーカー・エヴァンス、ダイアン・アーバス、ウィリアム・エグルストン、ステファン・ショアなど。
 こちらのスライド・ショーでさわりを見ることが出来る。
 この企画展の
目録も是非見てみたい。

2009年4月25日土曜日

恋とお料理と


 知り合いで、「クレア」でやっていた大月隆寛とナンシー関の対談連載のタイトルをずっと「目方でドン」だと思っていた人がいた。(正解は「地獄で仏」)
 先入観と思い違いというのは恐ろしい。
 私もずうっと
この本のタイトルを『モテ飯』だと間違えていた。
 何だろう、テレビ番組で作者とその料理をチラと見ただけだったけど、皆藤愛子似のお目々ぱっちりメイクの女子が、デミグラとチーズで男子を餌付けするイメージ?
 実際の作者は、もっとあっさりとした感じのかわいらしい顔をしていたが。 しかし、他のメジャーな料理研究家よりも異性受けしそうな雰囲気はある。
 この「異性受けするルックス」と「異性受けする料理企画」が逆に徒となり、最初は出版社に相手にされなかったいう。女性料理研究家は同性の支持ベースがなければやっていけない。
 でも、「料理をすればモテる」って発想は、昔はフツーにありましたよね。 あれ、どこで消えたんでしょう。
 家庭的であることがモテ要素にならなくなったのか。 料理が、という生活全般のことが女子にとって求道的な「文化」になってしまったからか。
 さて現在、私の中では何度目かのお料理本(&ブログ)ブーム。
 洋雑誌とか洋ブログのレシピを見て、せっせと訳して計量カップなどの違いを考え、分量を量り直したりして料理ノートに写している。
 そうやっていて気がついたんだけど、「作ればモテる」というようなコンセプトがいいか悪いかはさておき、私は恋の気配がするレシピ集とか料理エッセイとか料理ブログが好きみたい。 今年のはじめ、読んでいて楽しかったのは
『アマンダの恋のお料理ノート』だった。


 著者はニューヨーク・タイムズのフード・コラムニスト。友だちの薦めでお見合いデートをしたら、なかなか知的で楽しくていい人だったんだけど、チェーン店でのディナーだった上、食後にカフェラテを頼んだのでアマンダ愕然、というところからこのエッセイは始まる。(というか、私も「ディナーの後にカフェラテ厳禁」「まともなレストランで夜十一時過ぎに牛乳が入った飲み物を出すところなんてない」というレストラン常識は、この本を読むまで知らなかった)
 グルメとはほど遠い「ミスター・ラテ」とアマンダが結婚するまでの悲喜こもごもをレシピを絡めて紹介す
るという趣旨の本で、ときめきも、文化系カップルらしい風俗も、おいしそうな料理とそれに絡めたぐっと来るエピソードも満載だった。レシピは実際、役に立っている。アリコヴェールをさやインゲンに変えるなど代用していったら、「ワインに似合う前菜」だったはずが「ご飯に合う総菜」になってしまったこともあったが。
 しかし、9/11の日にロワー・マンハッタンにあるオフィスから瓦礫をかきわけてヴィレッジの自宅に戻ってきて、みんなにディナーを作ってくれるビジネスマンの友だちの話は感動的だったけど、別の意味でも涙せずにはいられなかった。だって、その人リーマン・ブラザーズに勤めているんだもの…悲しい晩餐がその後もあったものと思われる。 著者のアマンダ・ヘッサー、カバーのそでに入った著者写真がアン・ハサウェイによく似た美人なんでこれは奇跡の一枚か思ったのだが、本当にパーカー・ポージーとアン・ハサウェイを足して二で割ったような美人だった。
 日本の料理エッセイには、ちょっとこういう雰囲気はないような。 「恋と料理」の二本立てで気になっている本。

 現在、本国で売り上げがロケット・スタートの料理エッセイ。恋をすると相手に料理を作らずにはいられない著者の恋愛/料理遍歴。いいタイトル!

 これは「元カレが残したレシピ集」。思い出や胸の痛みは消えても、作ってくれた料理の記憶と作り方だけは覚えていたりするもの。 
 日本で「恋と料理が絡み合うエッセイ」で、私がぱっと思いつくのはこれくらいだものなあ。


 これ、「恋と料理」というよりも「非モテと料理」だし。オリジナル版(表紙はこっちの方が好き)を最初に読んだ時は、井の頭線で思わず泣いてしまった。坂崎さんがSUICAペンギンでブレイクした時は、坂崎さんは何億稼いでも罪にはならないよ!と思った。その後、(どんな姿を私が想像していたかは聞かないで欲しいが)
著者の写真を見たら可愛らしい人だったので、今はこの人の報われなさは極端な面食いか何かから来ているんじゃないかと疑っている。
 アグレッシブな『モテ飯』本として、こんなのはある。

 
 私、料理の最中にひとつ素材をパアにして冷蔵庫にストックがなかった時、「モテ飯」ブログからこのレシピを見つけて凌ぎました。簡単だけど、なかなかにおいしかった。聞くところによると、この人の本の購買層の二割は男性だとか。行程が少なくて簡単そうな上、男子好みのメニューが揃っているから自分で作っちゃうんだって。作ってくれる彼女なんかいらない? 料理が出来る男子は本当に素敵だけど、あんまり自己完結しちゃうのもなー。『彼女ごはん』を誰か作ればいいのに。

2009年4月24日金曜日

制服っぽいアイテムが好き


 欲しい。

 30年代の看護婦や婦人警官などの制服からヒントを得たMona & Hollyのコレクション




( Mona & Holly)


 うーんジャスト好み。ニューヨークのレストランなどのプロデュースで有名なデザイン会社が始めたブランドで、既にそのうちの一軒でウェイトレスが着用しているそう。

 ニューヨークのお店の制服といえば、自然派カップケーキで有名なBaby Cakesの店員さんたちがピンクのレトロな、アメリカン・ダイナーのウェイトレスが着そうなユニフォームを着ているのも可愛い。


(via Baby cakes The Bakery blog)


 夏のワンピースタイプのユニフォームはBuilt By Wendyのデザイナーにデザインしてもらったものだそう。



2009年4月23日木曜日

シャーリー・クラーク




 現在、ニューヨークのAnthology Film Archivesでは映画作家シャーリー・クラークのレトロスペクティブを開催中。
 ダンサー、振付師から映画監督に転身し、メカスやマヤ・デレンの仲間であったこの女性監督、『The Dud Avocado』で最近知った作家エレイン・ダンディの姉である。シンクロニシティ。ユダヤの名家で育ったためダンサーになることを猛反対されて、父親に恐ろしい暴力を振るわれたとか。作品も生涯も、もっと知りたい人。
 見たいのはフレデリック・ワイズマン制作の『クール・ワールド』。ハーレムを舞台に、ギャング団の抗争に巻き込まれていく十四歳の黒人少年の姿をドキュメンタリー・タッチで描く。というか、先月美学校でやっていたのか! うかつ過ぎる自分。見られた人、うらやましい。

The Cool World/Shirley Clarke


 冒頭十分、もう強烈なイメージ! これはやばい。

 ディジー・ガレスピーによる『The Cool World』のサントラ


Shirley Clarke:A Retrospective

2009年4月22日水曜日

誰もが誰かの元恋人






 リアンヌ・シャプトンの『Was She Pretty?』を読む。
 イラストと短文を組み合わせた構成の恋愛譚。
 ご覧の通り素敵な表紙で、現在本棚に立てかけて飾ってある。
 最初にケルケゴールの「あれかこれか」の抜粋が、手書き文字で書いてあるのもいい。 私はつくづく書き文字のエッセイや小説に弱いのだ。
 彼女の文字をどこかで見たことがある人もいるかもしれない。
 ノア・バームバックの『イカとクジラ』のタイトルバックは彼女の手によるものだ。
書き文字ではないけれど、『マーゴット・ウェディング』のタイトルデザインもシャプトンの仕事。バームバックは彼女がお気に入りで、クライテリオン版の『彼女と僕がいた場所』のパッケージもリアンヌ・シャプトンに頼んでいる。



 意外なところだと、チャック・パラニュークのこの表紙もリアンヌ・シャプトンの仕事だ。


 しかし二冊ほど読んで、彼女の作風がよく分かったね。
 一見お洒落だけど、恋愛模様を描かせると結構生々しいのが持ち味。文化系だけど、草食ではない。(本人は可愛い顔をしているのに!)
 「誰もが誰かの元カノ/元カレである」というこの本のコンセプトも、新しい彼氏の家に行った時、キッチンに昔の恋人の写真が飾ってあるのを見て思いついたそうだ。大人になれば、それなりに恋愛体験も重ねる。大人になって始まる恋は、最初の恋ではない。では、「昔の恋人」というのは人にとってどういう存在なのか?
 コリンの元カノのヘザーは自主制作映画の監督で、インタビューに答えて言うことには「ブロックバスターの映画なんて、やろうとしても私には作れないわ!」
 そのヘザーの元カレのジョエルは小説家で、二人の情熱的な関係について長編を書いたことがある。
 グレッグの元カノは、英国出身の女優のルーシー。完璧な外見をしているけれど、いつも役には美人過ぎると言われてオーディションを落とされている。
 そんなルーシーの元カレは女優としか付き合わない男。彼は自分の恋人が役をもらえるかどうかは気にしなかったけれど、役がつけばハッピーではあった。
 そんな昔の恋人についてのエピソードがどんどん生々しいものになっていく。
 美しすぎる昔の恋人について、今つきあっている彼女に決して話そうとしないマーティンは、その元カノから電話がかかってくると受話器を自室に持ち込んで出てこなくなってしまう。
 ケリーは恋人のレンと街に出ると、しょっちゅう彼が「昔よく知っていた」という女性に会う。
 イザベルは恋人の部屋で彼の昔の恋人を見つけて切り裂き、その破れた写真をパズルのようにつなぎあわせて、彼氏の枕の上に置いておく。
 ジェフの昔の恋人、モニカはトスカーナ出身。彼女がイタリアから遊びに来ると、ジェフは付き合っているジュリーを部屋から出してしまう。ジュリーは十四回も留守電を入れて、「まだ彼女に私のことを話していないの?」と残して電話を切る。
 エリザベスは自分の昔の恋人には興味がないけれど、元カレの新しい彼女について考えると気がおかしくなりそうになる。妄想の中ではその新しい恋人は彼女よりも細い足首、豊かな唇、高い学位の持ち主だ。
 スコットは昔の恋人、グレタが男といるところを地下鉄で見かける。彼は嫉妬を感じるが、同時にグレタと一緒にいる男に同情もする。
 そんなことや、昔の恋人の欠点やセックスについて事細かに書いてあるスコットの日記を、恋人のマーガレットは全部読んでしまう。
 ルイーズはグレッグの昔の恋人、ルーシーとパーティでぶつかって急に首に真っ赤な湿疹が出来てしまう。それから腹痛に襲われるが、医者は原因を特定できない。朝になると、湿疹と痛みは消えてしまう。
 洒落た軽やかな外見とは違い、嫉妬をテーマにした、鋭い切れ味の本だった。そういえばリアンヌの線画もシャープで力強い。
「彼女はきれいだった?」ていうタイトルもよく考えると怖いね。

2009年4月21日火曜日

女性文学ニュー・クラシック

 NYRCの本を調べている内に、私が欲しいと思った『Dud Avocado』『Cassandra at The Wedding』(二冊とも注文済み)など、一部のラインナップは女性文学の発掘/再評価を目指す英国のレーベル、Virago Modern Classicsとかぶっていることが分かった。


Cassandra at The Wedding/Dorothy Baker

 この可愛い表紙で欲しかったかも。今、Virago版は
ポール・デルヴォーの表紙に変わってしまっていて残念。
 Virago Modern Classicsによる再発第一弾が、アントニア・ホワイトの
『五月の霜』だと知って納得する。アドルフ・ディートリヒの少女の絵を使ったみすず書房版の素晴らしい表紙は、Viragoで最初に出た時の版にならっている。
 で、Viragoと同じく忘れられた二十世紀の女性作家の作品を発掘している英国レーベルが、Persephone Books。 ここは装丁が秀逸。表紙は全部地味なグレイの統一デザインなのだが、見返しは全部、古いテキスタイルデザインや広告のパターンなどを使って変えているのだ。Persephoneの見返しの一覧表がこちら。うわー、中ジャケ買いしたくなる! お揃いの栞もついてくる。ポール・スミスもこのシリーズの装丁が気に入りだそうだ。内容の方も面白そう。(何冊かアマゾンのカートへ)
 サーチをかけてみたら、ここらへんの本をレーベル買いしている読者の多いこと、多いこと。何というか、日本でいうと「新潮社のクレストブックと堀江敏幸が好き」みたいな女子の英米濠版のブログがいっぱいひっかかった。ブロンテ姉妹やジェーン・オースティン、キャサリン・マンスフィールド、ヴァージニア・ウルフ、エリザベス・ボウエン、ジーン・リース、フランスならばコレット、アナイス・ニン、サガン、アメリカに渡ってディキンソン、時代を下り下ってシルヴィア・プラスの『ベル・ジャー』。といった読書歴を重ねている女子読者にとって、他にどんな本がクラシック、あるいはニュー・クラシックなのかが分かって大変に面白かった。
 ロザモンド・レーマンといえば、「意識の流れミーツ少女小説」な
『ワルツへの招待』は私も大好きな一冊だけど、Viragoでは何冊も出ていて不動の人気を誇っているのだな、とか。 D.H.ロレンスのパロディ小説、ペンギン・クラシック版のRoz Chestの表紙!で気になっていた『Cold Comfort Farm』も定番。


 人気が高くて驚いたのは、ドディー・スミス。日本では『101匹わんちゃん』シリーズ以外は『カサンドラの城』がハリポ作者のお気に入りとして翻訳されたくらいだけど、他にも色々と出ているんだ。お父さんが小説で一発当てたお金で買ったお城に暮らす、すごく貧乏な姉妹に玉の輿話が舞い込む『カサンドラの城』、ジェーン・オースティン・マナーの少女小説でとても面白かった。ビター・エンドであるところが、評価の高さの決め手か。


『カサンドラの城』は映画化もされている。ロモーラ・ガライの事実上のデビュー作。海外のAmazonでDVDを取り寄せて見たけれど、彼女はヒロインにぴったりだった。「作家を目指す、現実となかなかコミット出来ない妹」と「華やかな姉」という構図が『つぐない』をかぶっている。


ロモーラ・ガライが主演した
『エンジェル』の原作者、エリザベス・テイラーの作品もViragoがまとめて出している。『ダンシング・ハバナ』ではオースティン好きの女子、『虚栄の市』の映画化作品『悪女』ではアメリア。トレヴァー・ナン演出の「リア王」ではコーデリア。現在はBBCドラマ『エマ』の撮影中(もちろん主演!)ロモーラ・ガライは文学少女アイコンだ。
 Viragoはジャクリーヌ・スーザンの
『人形の谷間』なんかもクラシックに入れていて、視点が新しくて感心する。植草甚一は「本当に下手くそ」と吐き捨てていたけれど、常盤新平は「大衆小説としてまず見事」と誉めていた。この評価の違いは心の中に女子がいるかいないかの差、良くも悪くも。私は「彼女のリトルキングダム」で、名声のためだけに懸命に小説を書いたこの人を取り上げた。現在、アメリカの女性文学評論家たちの中にある、同時代の優れた(女性作家のペンによる)大衆小説として『ゴシップガール』『トワイライト』を積極的に評価しようとする動きは、こうした流れがあるからかもしれない。

追記:そう言えば、ジョー・ライトの『プライドと偏見』のリジーも最初はロモーラの予定だったんだ。(途中でキーラが役を欲しがって横入り→ネームバリューで勝ち取る)舞台で『かもめ』のニーナをやっているロモーラ、あとやるべき「そういう役」といえば『ジェーン・エア』か。

2009年4月20日月曜日

佐分利のここ、空いています

 清水宏の映画を見ていて気がついたそっくりさん。

 若き日の佐分利信と春日。

 探したが、ネット上に『按摩と女』や『暁の合唱』の時の彼のスチールは落ちていなかった……残念過ぎる。髪型や体型までそっくりなのに。

 もう佐分利信を見るたびに、彼が桃色のベストを着て「へっ」という姿を思い浮かべてしまう。

 小津安二郎が今生きていたら春日を使うかもしれない。

 ちなみに私はオードリーでは若林派。

2009年4月16日木曜日

営業報告

「波」に書いた『くまちゃん』の書評が新潮のホームページにアップされていました。こちらです。
「本の雑誌」の新刊レビューと「FRaU」の読書日記で取り上げた書籍は以下の通り。

ドン・デリーロ
『墜ちてゆく男』
マイケル・オンダーチェ
『ディビザデロ通り』
ダニエル・ケールマン
『僕とカミンスキー』
アデライダ・ガルシア=モラレス
『エル・スール』
多和田葉子
『ボルドーの義兄』
森見登美彦
『恋文の技術』
ミッシェル・ロヴリック
『世界の奇妙な博物館』

『エル・スール』は乙女クラシック入り。 というかみんなもっと騒ぐべき!

プランタン銀座、エコール・プランタンの一日講座は現在受付中です。
 テーマは「女子の友情映画」。
リンク先のpdfに3ページ目にくわしい情報が載っています。6月21日の14:00〜16:00で、受講料は三千百五十円です。
 電話でのお申し込みは03-3567-7235まで。

2009年4月11日土曜日

New York Review Classics

 New York Review Classicsの本。ジャケがいいわ、ラインナップがいいわで気になるシリーズ。欲しい本を何冊か。

同じ著者の作品なら『The Doves of Venus』の方が私好みの内容のような気がするが、とりあえずこの表紙に使われた絵が誰のものか知りたい。

辻静雄も私淑していた料理研究家/エッセイスト。これはもう買うこと決定。夏までに。

コリアーの傑作選。素晴らしい表紙。翻訳が出ているものでなかなえる内容だけど、これはジャケ買いして飾っておきたい!

ロシアのポスト・モダン作家、ウラジミール・ソローキンの処女作

『ヤングマン・ウィズ・ア・ホーン』のドロシー・ベイカーの作品。『レイチェルの結婚』や『マーゴット・ウェディング』の元ネタだと思われる

「パリのアメリカ人女子」もの。ヘンリー・ジェイムス的な題材だけど、あくまで主人公の女子側の視点から描いた冒険譚。作者はケネス・タイナンの最初の奥方。

ハリウッド俳優を両親に持つ著者の自伝的小説。スリム・アーロンの写真を使った表紙が内容と合っている。

タチヤーナ・トルスタヤの短編集。一部邦訳されて『金色の玄関に』に収録されている。クレストから出ているデイヴィッド・ベズモーズギスの『ナターシャ』と並べたくない? ていうか、乙女ロシアなビジュアルの表紙の写真、同じカメラマンの手によるものじゃないの? 

ヒッチコックの映画の原作戯曲、『ロープ』のパトリック・ハミルトン。パーフェクトなタイトル。パーフェクトな表紙。


フランス在住カナダ作家の短編集。ジュンパ・ラヒリも彼女のファン。

「アメリカ文学におけるロマンティック・コメディ作品の中でも、最も忘れがたいチャーミングな一作」でフローレンスが舞台とくれば。バカンス向き。

2009年4月10日金曜日

インゲ・モラスとソール・スタインバーグの『マスカレード』

 最近、手に入れて嬉しかった本。


 1956年。写真家のインゲ・モラスはかねてからファンだったイラストレーターのソール・スタインバーグのポートレイトを撮影する機会に恵まれた。彼女がアッパー・イースト・サイドのアパートに行くと、『ニューヨーカー』の風刺画などで有名なこの画家は、自分の似顔絵を描いたマーケットの買い物袋をすっぽり被って彼女を迎え入れた。壁には、様々な気分の時の彼の表情を描いた紙袋の仮面が掛けられている。彼は次々と紙袋を被り、なかなか素顔での撮影に応じてくれなかった。モラスはこのアイデアが気に入り、一年後、改めてスタインバーグが描いた紙袋の仮面を様々な人に被ってもらい、作品集にした。これがスタインバーグとのコラボ作であるこの写真集である。
 私が手に入れたのは、九年前に出た復刻版だ。小ぶりなサイズが気に入った。私は小さなサイズの美術書が好きなのだ。買い物袋の仮面を被った人々は、匿名性を身につける。個人というより普遍的な存在として写真に収まる。皮肉でぞっとするようにも、エレガントであるようにも見える。不思議なポートレイトだ。五十年代らしいヒップな雰囲気。今見ても、充分に新しい。
 インゲ・モラスは写真家集団マグナムの一員であり、作家アーサー・ミラーの最後の夫人だった人である。『MASQUERADE』で、紙袋をかぶっている紳士の内、誰かはアーサー・ミラーなのだ。


 インゲ・モラスのセルフ・ポートレイト。(From Magnum Photo

 アーサー・ミラーとインゲ・モラスは、ミラーの前妻、マリリン・モンローが主演した『荒馬と女』の撮影現場で知り合った。『荒馬と女』の撮影ドキュメントのためにマグナムのメンバーは入れ替わり立ち替わり現場を訪れている。アンリ=カルティエ・ブレッソン。イヴ・アーノルド。ブルース・デヴィッドソン。エリオット・アーウィット。だから写真集『Magnum Cinema』でも、最もページが割かれているのは『荒馬と女』の写真である。
 ここに収録されているインゲ・モラスの作品は、クラーク・ゲーブルと一夜を明かした後、ふらふらと気に抱きつくマリリン・モンローを連写したものだ。
 ブック・デザイナーのヘンリー・センス・イェーのサイトでこの本の表紙を見て、私は『MASQUERADE』を欲しいと思った。

Funny Accent/Barbara Shulgasser-Parker

 この本も欲しかったのだが、残念ながら、版を重ねた時に表紙が変わってしまったらしい。いつかニューヨークの古本屋で、この小説の初版本に出合うのが夢である。内容も面白そうだ。

2009年4月9日木曜日

愛の渇き/肉体の学校

 シネマ・ヴェーラで、見られて嬉しかった三島由紀夫映画二本立て。
 『愛の渇き』は
原作未読。夫の死後、彼の実家で義父の妾となった浅丘ルリ子がエロい。しかし、そんなルリ子が欲情する「頭は弱いが屈強な下男」というハーレクィン・キャラ(もう由起夫ったらそういうの好きなんだから!)を演じているのが石立鉄男だという事実に衝撃を受ける。しかしこれがそう悪くない。まだあの独特な節回しも身につけていなければ、くるくるパーマでない鉄男。この人はどこでこの素直な綺麗さを失って、石立鉄男になったのだろう。
 私のお目当ては、『肉体の学校』の方。
 原作も大好きだし、『男嫌い』に続く木下亮と岸田今日子のタッグ作と来れば、悪い訳がない。思っていた通りの傑作だった。 今日子は元・華族の女。ゲイ・バーのバーテンをつとめる、やさぐれた青年に夢中になる。悲しみと禍々しさを漂わせ、なおかついじらしくて、可愛くて、したたかで。こんなに三島のセリフやモノローグが似合う女優もそういない。「ジゴロの威厳がある」と云われる山崎努も悪くなかった。ガスコンロの炎に消える写真の中、一瞬だけ見えるもだえた表情も思ったよりも色っぽくていい。
 しかし、何よりも魅力的なのは過剰なくらいの木下亮の演出。舞台のようにコントラストのきつい照明。山崎努をパチンコ屋に残して夜の街を彷徨う今日子だが、激しく揺れるネオン街の風景とは関係なく、たった一人で何もないスタジオをコツコツと歩いている。極端なクローズアップと流れる髪をコラージュしたベッドシーン。白い裸体のトルソに分断された今日子と努のシルエットが印象的な別れのシーン。そして途中に入るファッション・ショー。ほどよい俗っぽさとゴージャス感のミックス。池野成のバロック風のスコアもこれまた最高。『夜の蝶』といい、この人の映画音楽は本当に素敵。 現時点で、今年観た旧作のナンバー1である。

ホーリー・ファレル展


 試写で『それでも恋するバルセロナ』を見た後、銀座のメグミ・オギタ・ギャラリーに。

 気になっていたホーリー・ファレル展「Home and Sea」

 ホーリー・ファレルはカナダの画家。独学で絵を覚えたそうだ。身近な物をアクリルと油彩で描いた静物画は、どこか私の好きなウェイン・ティーボーに通ずる晴れやかさがあって、クリアで、ラブリー。料理本や、マグカップ、模様つきのガラスコップ、帽子、バービー人形…。作品集が出たら欲しい。

 展示は明日まで。

 ギャラリーの入っている銀成ビルは、手すりのない階段が印象的な、とても素敵なレトロビルディングだった。

 ここのギャラリーは私が是非とも実物を見たいと思っている画家の作品を所蔵しているので、また行きたい。


お花見


 桜の季節が来るたびに、ここに越してきて良かったなあと思います。

寝室からも、ベランダからも、仕事部屋の窓からもお花見が出来るし、お友達を招くことも出来る。


 私が作ったのは、バルサミコ酢と砂糖でソテーしたトマトのパイと、ワカモレと、新ジャガとスモークサーモンのサラダ。それとグレープフルーツとライム、ウォッカを混ぜたカクテル(少量)。ルビー・グレープフルーツの果肉はちょっと桜の花びらのようだったので、少し残した。

 生春巻き、赤飯、ラタトゥイユ、チャーシュー、おにぎり、カツサンド、生チョコ、ドーナツ等々、おいしいものを持ってきてもらいました。楽しかった。

2009年4月6日月曜日

踊る阿呆に見る阿呆

 現在、大変に話題になっている映像。

 アントワープの駅で起きた椿事ということになっているが、周到に用意されたパフォーマンスと思われる。

 でも、つられて踊った人もいると信じたい。

2009年4月1日水曜日

おてんばルル!

 イヴ・サンローランの『おてんばルル』がアニメ化! 4月4日から東京MXテレビでスタート。エイプリル・フールじゃないよ。
 素敵すぎるけど、これってフランスで放映されていたの? それとも日本のオリジナル企画? オフィシャル・ページも原作と同じくシックでキュートだわー。「登場人物」にカーソルを合わせると、「みんな私の引き立て役よ」と出るのが笑った。ルル!

 素敵で不敵な女の子たちの本棚にはかならずあるべき本。

Marcel Dzamaのビデオ



 マルセル・ザマがパトリック・ドーターズとデパートメント・オブ・イーグルスのPVを共同監督。MOMAでお披露目上映された。

No One Does It Like You/Department of Eagles



 今のところこれが今年のベストPV。